2014.11.07 Friday
戸隠連峰 西岳から八方睨、そして恐怖ふたたび・・・
去年のこの時期、戸隠奥社からの登山ルートであの恐怖の蟻の戸渡り、そして続く剣の刃渡りを命からがらやり過ごして対岸の八方睨から戸隠山を踏破。その時、西方向に臨んだ険しい岩塊の連なり西岳連峰。
そして今年の2月、雪上トレッキングで訪れた鏡池から仰ぎ見ることふたたび。既にこの時に決めていた、この猛々しくも美しい連なりへの挑戦を。
思い立ったら絶対の性分、言ってみれば無鉄砲、良く言えば”立てた目標は完遂”をモットーとしているもので、自分でもちょっと疲れますが(苦笑)…、晩秋のすべての条件が揃ったベストのこの日を選んで、思い切って休暇を取って挑んで来ました。
見ての通り紅葉はすっかり終末を迎えていましたが、晴れあがった青空と晩秋の柔らかい日差しが眩しく気持ちの良い、最高の登山日和。
登りはじめの山道には落ち葉が厚く降り積もり、踏み音がサクサクと心地よいこと。でも、急斜面では滑りやすく油断が出来ません。何度転びそうになったことか…。
天狗平を過ぎると暫しの間、眼前にそそり立つ岩壁に厚い雲が湧いて若干の不安が過りましたが…
間もなく雲が上ると、これから攀じる竪壁が全貌を現します。遥か上方には目指すP1が。
そしてP1までのアプローチは垂直に近いクサリ場の連続。
攀じ登っても、攀じ登っても、なかなかP1は近づきません。一歩一歩慎重に歩を進めるのみ、緊張が続きます。
途中、熊の遊場で小休止。この場所にこの名が付いた理由も分かりませんが、熊が”能”になちゃってるところが笑えます。
そしてまた緊張の垂直クサリ場。100%鎖ばかりにも頼れません。足の掛場に神経を集中させて、性急な自分も一歩一歩焦らずに慎重に進みます。
そしてようやく辿り着いたP1からの眺望。スタート地点の鏡池が眼下に見えて、達成感満点!取りあえずは一段落です。
P1を後に次に目指す西岳へ。こんな際どいクサリ場から垂直梯子へ乗り移りもあって、気を緩める暇がありません。
この辺りからは遠く新雪を頂いた北アルプスの峰々がちらほらと。
難所を超えてP1を振り返り小休止。
西岳に近づくにつれ、ため息が出るほど美しい北アが目に飛び込みます。ここまで来てこその眺望ですね。
そして、遂に西岳山頂(2,035m)に到着。
さらに縦走して本院岳(2,030m)へ。ここでゆっくりと昼食をとって大休止。
晴れ渡った山頂からのパノラマは絶品ですね。
すぐ近くには飯縄山が一望。
帰りルートの分岐、八方睨みに向かう稜線からの眺め。少しづつ北アの景色は欠けてきますが白馬連峰が近くに。
こちらには上州県境の山々、そして右奥には遠く南アルプスから富士山も幽かに。
新潟方面に目を移すと、すっかり雪に覆われた焼山が顔を覗かせています。
7時間かけてようやく八方睨に辿り着き、後方、踏破してきた本院岳、西岳を振り返り感無量。
さて、さて、本当は嫌なんですがここを通らずには帰れないんで… 剣の刃渡り〜蟻の戸渡り、1年ぶりのご対面。やっぱりぞっとしますね(^^;
今回は八方睨までの道中でお会いした同志(長野市内から来た青年)のサポートを受けてこの難関を無事通過。やっぱり例によって○○玉縮み上がりましたよ。なんせ手前の剣の刃渡りはクサリもなく足を滑らせたら其処は奈落の底ですから… 生涯で2回も渡るなんて、今回で渡り納めと致します。
彼は奥社から登って、行けるところまでと本院岳への途中で自分と会って引き返したのですが、1日に2回もあの恐怖体験を。
怖いもの見たさは自分だけじゃなかったようで、、、お互いに大したもんです(笑)
と言うわけで、今回の行程、早朝6時前に奥社駐車場から歩きはじめ、鏡池を経由して9時間かけて奥社に帰着。身も心も限界ギリギリでしたが、何とか無事に完遂出来たことは一生の宝となりました。この行程、もう二度とないでしょう(笑)