2012.10.21 Sunday
紅葉の火打を行く
空気澄み渡る素晴らしい秋晴れの中、妙高連峰の最高峰 火打山(2,462m)に登って来ました。
早朝4時過ぎに自宅を出発し、上信越国立公園の笹ヶ峰に着いたのは5時半前。この時、登山口駐車場での気温は何と0℃。前日からの山泊まりのお客さんの車のフロントガラスは真っ白に凍り付いていました。
後から聞いたのですが、前日は妙高連峰で初冠雪を記録したとのこと。そりゃ冷え込む理由です。
今年は長引いた残暑の影響で秋の訪れが遅く、山の木々の色付きも遅れ気味のようで、通年なら1,300mを超すこちらでは紅葉も終盤を迎えている頃?と心配しましたが、今まさに最高潮のようで、登山道から望む錦織なす山々に期待が膨らみます。
5時35分にヘッデンを点けて登山口を出発。黒沢橋まではダラダラと緩やかな上りですが、ブナ林の中を整備された遊歩道が続きます。
黒沢橋に着いた頃は薄明るくなり、小休止の後、この先からの十二曲がりから急登となりいよいよ本格的な登山道となります。
きつい十二曲がりをやり過ごす(ここまでで約1時間)と少し勾配が緩くなり、時折木々の合間から靄の立ち込めた笹ヶ峰ダム(乙見湖)とその後方に乙妻・高妻の信州の山々が臨めます。そして、ブッシュの間を行く登山道には凍てついた落葉が。この秋一番の冷え込みが創り出した寒色の美ですね。
再び厳しい登りの岩場を抜けて景色が一気に開けると、東の稜線から眩しいばかりの朝日が差し込み、色付いた木々の赤色が映えて美しいこと。
中継地点の高谷池に着いたのが8時。左に湿原を見下ろしながら天狗の庭から雷鳥平へ。枯れた地塘も趣があります。
湿原の池には見慣れた鳥が・・・。2,000mを超える高地で羽根休めとは驚きです。ここに降り立った目的は何なんでしょうか?
この高さまで来ると既に紅葉も終盤ですが、突き出た白い岩との取り合わせが絶妙で、自然が創り上げた庭園ですね。
山頂までの低い尾根には昨夜の雪が樹氷となり、陽に照らされてバラバラと音を立てて落ちてきます。秋と冬が混在、絶妙なタイミングで何とも得した気分に。
尾根を越えると眼前に山頂が迫ってきます。ここから約30分、もうひと頑張りです。
そして、ラストの厳しい急坂を登りきると行き成り山頂が現れ、なんか最後はあっけない感じでしたが、登山口を出てから3時間半。久し振りの本格的な山登りでしたが、まずまずのペースでしょう。
山頂から望む妙高山の雄姿。火打山の女性的な姿に対して、こちらは如何にも男の山って感じです。
また、西側には焼山が間近に。県下唯一の活火山で、現役で水蒸気を上げているのが見えます。
登山道は整備されているようで、先着の山ボーイ2名が縦走に向かいました。
さらに南を遠望すると富士の頭が・・・ こう見ると日本の南北関係、意外と狭いものですね。好天に恵まれて、おまけに日本海側から富士山まで拝めて最高です。
早めの昼食(おにぎり2個)をとって、最後に山ガールに証を撮ってもらって、めちゃくちゃ寒いんで早々に山頂を後にしました。
帰り道はゆっくりと写真撮影をしながら・・・
日が高くなると紅葉はやっぱり美しい。色々な表情を見せてくれます。
こりゃ、ただ赤とか黄色とかって表現では言い表せない絶妙な色合いとコントラスト。ダケカンバの枝のアクセントも良いですね。
緑があるから紅葉も映える。常緑樹は引き立て役ですが、この対比がまた良い。
この朱って色、自分の中では紅葉の主役。なんとも優しい色ですこと。
三原色とは良く言ったもんです。三つが揃うとそれぞれが極立ちます。それとやっぱり紅葉には青空と優しい日の光ですね。
早朝に通った登山道の霜着いた落ち葉もまた、これはこれで儚いけどなんか絵になります。
あまりに美しくて、撮影会に夢中になったせいで帰り道は3時間15分かかって登山口まで辿り着きました。
こんな美しい景色も一週間違えばあっという間に冬枯れになってしまうと思うと本当に名残惜しく、後ろ髪を引かれつつ笹ヶ峰を後にしました。
こんな感じで、これから少しずつ低山も色着いて来るんで、また時間が取れたら出かけようかと思います。